常勝軍団だからこその安堵の想い

まずは昨年に引き続き、チーム総合優勝、ホセ選手の個人総合優勝の完全勝利、おめでとうございます!シーズンを終えた率直な感想をお聞かせください。

-安原監督
すべてオレ(監督)のおかげや!

-小森選手
結果だけ見ると、今年も余裕で…と思われるかもしれませんが、実はギリギリ紙一重で手に入れた結果の積み重ねでした。
なのでなんとか結果を残すことができてホッとしたというのが正直な気持ちです。

-ホセ選手
シーズンが終わり、やっと落ち着いて勝利の喜びを実感すると共にやり遂げた達成感の中で安堵し、静かに平穏な時間をかみしめています。ロードレースはチームの戦略等、また外的要因の影響もによる運もあり自分だけの力で勝利することは難しい。レースの流れをチームで主導するために個々の素晴らしいプレーが導き得た勝利です。

-マリノ選手
ホッとしています。前半は毎レース攻めて、チームでは計7勝(JPT6勝TOJ1勝)、個人で1勝しましたが、後半は打って変わって守りのレースが続き精神的にも消耗しました。僕個人はこうして1シーズン何かのランキングを争う戦いをしたのは初めてだったので、後半戦のように1レースの結果を求めるよりランキングのためにポイント重視で走ることには戸惑いもありました。


※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

 

毎シーズン勝ち続けることは非常に難しいことだと思いますが、優勝した2020年シーズンからレースやトレーニングにおいて、変えた点や工夫したことなどを教えてもらえますか?

-安原監督
チーム合宿を増やしました。そして最強のマンセボ選手とのトレーニング機会を増やして選手強化を狙いました。

-小森選手
個人では、トレーニングのデータも大事なのですが、より体のフィーリングや気持ちの面を重視するようになりました。
無理して頑張るというよりも気持ちよく自転車が走ってくれるようなイメージで。
チームでは情報や意見交換する機会がさらに増えたました。経験豊富なベテラン選手や新しい考えを持っている若手選手が互いに持っているものを補あえる関係性ができていると思います。

-マリノ選手
1シーズン通して勝負することを前提としてトレーニングしていたので、今年は自身のピークを作ることはしませんでした。例年は目標とした2~3ヵ月の結果を出すべく全てを捧げていたので、僕としては新しい試みでした。最後はもうひと頑張りしたかったですが。

 

総合力の底上げを実感

今シーズンはチームの大黒柱であるマンセボ選手、そして個人総合優勝のホセ選手に加え、日本人選手の活躍も目立ち、より一層チームの強さに厚みが増したように見えました。

-ホセ選手
マンセボがチームに戻ってきたことで、チームの全体的なレベルが上がったことは明らかです。なぜなら、チーム全員のモチベーションも上がるから。チーム全体が強くなりレベルが上がり勝つことができます。
個々で高い実力を持っていてもチームのレベルや団結力ががあまり良くない場合、勝つことは非常に難しい。チームのモチベーションを上げたことがそれぞれの勝利に繋がったと思います。

-マリノ選手
マンセボがいない期間の結果が今シーズンのマトリックスを表していると思います。
正直僕個人としてはマンセボがいない時のほうがチームとしては強いと思っています。
マンセボが勝つときは、大体彼個人のパワープレーで勝っていますが、彼が抜けたとたんに3人が立て続けに勝った時は本当にチームが強かったと思います。
上手く連携し、マンセボという強すぎる存在に頼ることなく、甘えが消え、個々が結果を出す覚悟が出来ていたと思います。
来期はマンセボがいても皆がそれを発揮できたら良いなと思います。

-安原監督
マンセボとの強化練習が効きましたね。それもこれもオレ(監督)のおかげ!

-小森選手
やはり監督の手腕です。


※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

 

シーズン中、一番苦しかったレースや苦労したことについて教えてください。

-安原監督
すべて苦しい。
Jプロツアーは期間が長くテンションやコンディションを保ち続けることや緊張感続く中での活動はずっと苦しい。

-小森選手
シーズン序盤は調子が上がらず苦しかったですね。やるべきことはやっているはずなのになかなか結果が出なかったので。来年に向けての課題です。

-ホセ選手
TOJの富士山ステージとJPT南魚沼レースは体調を崩し、レースは苦しく最悪なものでした。

 

では、みなさんの今シーズンのベストレースは?

-ホセ選手
JPT広島とTOJ相模原で獲ったシーズンで2勝。その2つとも私にとって信じられないほどでした。
特に酷い雨の広島での勝利がもっとも印象深いです! レース中の寒さと雨の非常に厳しい気象条件の下で、そしてフィニッシュラインから60km(わずか5周)の攻撃の後に一人でフィニッシュラインに到達することができ、後続を引き離して勝利でした。とても厳しいレースでの勝利に今でも特別な味わいを感じています。


※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

-小森選手
やはり自分自身のJプロツアー初優勝を挙げた夏の広島は嬉しかったです。
でも、マリノが勝った群馬も常にチームが前へ前へ動き続けた良いレースだったと思います。

-マリノ選手
6月のJプロツアー群馬です。


※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

-安原監督
UCIおおいたアーバンクラシック。
パコの優勝だけでなくチームが好い走り良い成績でUCIレースというインパクトがある。
しかしJプロツアーも勝利の度にベストだと思える。どの勝利が…と決められないくらい、勝利したレースは全てベストレース!

 

安定したチームの雰囲気が安定したパフォーマンスに

シーズン後半まで僅差の接戦が続きましたが、チームの雰囲気はどうでしたか?

-ホセ選手
私がここにいた7年間、チームの雰囲気はいつも良かったし、総合かかる緊張の大勝負の時でも同じだった。 チームメイトとの時間や空間はレース内外の全てが調和していました。

-小森選手
経験豊かなベテラン選手が多いので、ギンギンに張り詰めた空気というよりは、落ち着いて淡々と集中していた印象です。密にコミュニケーションは取るようにしていましたが、長いシーズンを戦うので大きな波はなるべく設けず、一つづずやるべきことをやっていたという感じです。

-マリノ選手
チームの雰囲気は最初から最後まで良かったです。苦しい時でも雰囲気が悪くなるような柔なチームではありません。

 

”今だから言える”的なレースやトレーニングでの印象に残っているおもしろいエピソードなどあれば教えてください。

-安原監督
オレが居ない西日本ロードクラシックの小森の優勝(笑)

-小森選手
どこのレースか忘れましたが、マンセボがレース中にイライラしだしてアタックしたらそれが決まったり、マリノもブツブツ文句を言いながらアタックしたら決まったりしたので、「今まで考えた作戦はなんだったんだよ」っていうことが何度かありました。

-ホセ選手
レース遠征のときはいつも時間に合わせてしっかり準備をしていて、チームの中でも慎重なタイプだと思っています。
ところがある遠征で出発時間を完全に間違えてしまい、チームからの連絡で間違えを知りました。私は一瞬何が起こったのかもわからないくらい混乱し慌てて到着したら、チームのみんなが私のその様子を見て大笑い。それでもその時は何が起きているのかまだ混乱していました。


※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

 

気分転換とウェアの話

長いシーズン中、心身のリフレッシュのためにやっていることはありますか?

-安原監督
サウナ

-小森選手
釣りです。
自転車のことを一切忘れて、獲物を狙うことで野生の感を取り戻しています。

-マリノ選手
なんだかんだで、良いリズムでトレーニングの日々をこなせていること以上に心がリフレッシュされることはありません。

-ホセ選手
山やビーチに行くのが好きで、元気いっぱい楽しみます。自然が大好きで、自然に囲まれた場所で食事も楽しみます。

 

日頃からレースやトレーニングのウェア選びで大切にしていることはありますか?

-小森選手
天候に合わせたウエア選びは大前提ですが、フィット感ですかね。
大きすぎてバタついたら空気抵抗になるし音がうるさくて集中できませんし、小さすぎてキツすぎたら動きにくくなるので。

-マリノ選手
とにかく身体を冷やさないことです。
トレーニングで山を登ることが沢山ありますが、よっぽど暑い日以外は防寒具を持っていきます。

 

ありがとう!アイラン!

パールイズミのカタログモデルとしても大変お世話になったアイラン選手が今シーズンで退団してしまいとても寂しいのですが、そんなアイラン選手に一言!

-小森選手
アイランありがとう!アイランの変わりになれる選手はいないので、現役復帰したくなったらぜひ日本に帰ってきてからよろしく!

-マリノ選手
ここ2か月程、何度もお別れの一言を言っているので、飽きました。もう何も言いません(笑)

-ホセ選手
はい。チーム全員が彼のことを心から恋しく思っていました。
彼はいつもチームの為を思い、レースでは献身的なサポートをし、メディアでチームが知られるように気配りしていた。
彼の発信するphotoなどはとても素晴らしい価値あるもの。彼がこれまでしてくれたことの全てに感謝をしています。


※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

 

来シーズンに向けて

では最後に、お決まりではありますが2022年シーズンへの抱負を聞かせてください!

-安原監督
テーマは「実録」
映像画像じゃなくて、リアルな実走実態そのものが録される意識、そして皆さんにはそこを見て欲しい。

-ホセ選手
自分を信じトレーニングなどの行動、努力を信愛し続けること。
それが全ての結果に繋がる、そしてあとは運を天に任せる。私はその信念で来シーズンに臨みます。

-小森選手
小手先の戦法ではなく、根本的に強くないとシーズンを通して結果を残すことは難しいと思います。
さらに強くなって来季も本気で戦いますので応援よろしくお願いします。

-マリノ選手
開幕戦勝利。シーズン3勝。全日本優勝。UCIレース優勝。以上!

 

安原監督、小森選手、ホセ選手、マリノ選手、たくさんのお話を聞かせていただきありがとうございました!
ベテランと若手がうまく調和したどんな時でも安定したチームの雰囲気、選手それぞれの高い向上心とチームへの想い。
勝ち続けるマトリックスの強さの理由がうかがえました。
来シーズン、さらに他チームからのマークが厳しくなり、勝ち続ける困難さを感じることもあると思いますが、そこを越えてさらに強くなっていくマトリックスを楽しみにしています。