緊張感とモチベーションを保ちながら個々で

今シーズンはコロナウィルスの影響でレースのない期間が非常に長かったかと思いますが、その期間はチーム・個人としてどのように過ごしていましたか?

-安原監督
基本的に個人練習中心にしていましたので、とにかく緊張感を切らさずに、個人で練習を積み重ねていくことを伝えていましたし、自分自身にも言い聞かせて走っていました。

-ホセ選手
起きている状況を静かに受け止め受け入れていました。可能な限り再開に備えてコンディションを保ち、整え準備していました。警戒状態が落ち着いたらいつでも高い意識とパフォーマンスでチームに戻れるようにと。

-安原大貴選手
筋トレです!シーズン中はなかなかできないのであえて筋トレを多く取り入れていました。レース時には体がバキバキになるので、そのような体のバキバキ感をイメージして負荷をかけてやっていました。

レース感覚がなかなか戻ってこなかった序盤

ようやく8月からレースが再開されましたが、序盤はいつもの強いマトリックスらしさが影をひそめ、苦戦しているように見えましたが、実際チームはどのような状況でしたか?

※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

-小森選手
やはり、準備してきたつもりでもできていなかった部分が大きかったです。常に一人で練習していたので、周りの選手と比べることができず、主観的な感覚と実際の状態の乖離が大きかったので、それを修正するのに苦労しました。

-アイラン選手
どれだけ練習してもコンディションが良くても、勝つ事が出来ない事もある。それがスポーツだと思っています。我々はチームで戦い、チームで勝利を目指しているので、結果が伴わない時期はとても苦しかったです。

-安原大貴選手
レース強度は練習とは違うと頭ではわかっていましたが、実際はそれ以上でレースが再開して最初はびっくりしました。1~2時間であればなんとか持つのですが、2時間以上のレースになると体がキツくて。。。心底ギャップを感じました。

-安原監督
レースから離れてた期間が長く、レース感覚を戻すのに思った以上時間がかかったのと、リーダーであるマンセボ選手が不在だったのがパフォーマンス、そしてチームの士気の部分でも非常に影響していました。

復調の兆し

序盤は苦戦していたものの、レースを重ねるごとにチームの調子が上がってくるのが目に見えて分かりました。いつもの強いマトリックスに近づいてきて、歯車がかみ合ってきているような感覚を感じていました。

-安原監督
マンセボ選手が戻ってきて、走りで喝を入れてくれたことでチームの雰囲気がガラッと変わりました。ベネズエラから来た新人のキンテロ選手がようやく日本のレースに慣れてきて力を発揮し始めたのも大きかったと思います。

-ホセ選手
やはりレースへの適応力はレースを重ねれば重ねるほど身についてくるものなので、レースごとにパフォーマンス、そして集中力が上がってきたのだと思います。

-小森選手
選手一人一人が危機感を感じて今まで以上にチーム内でのコミュニケーションを綿密に取るようになったことでよい変化が出てきました。もちろんマンセボが帰ってきたことも大きな要因の一つだと思います。

ミーティング、そして選手同士の会話を重ねて

シーズン中、チームの士気をあげて復調させるために意識的に取り組んでいたことはありますか?

※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

-安原監督
リーダーチーム、チャンピオンチームとしての自覚を選手に持ってもらうよう、ミーティングで何度も伝えました。

-アイラン選手
特別なことはしていないけれど、とにかくチームメイトとの会話を大切にしていました。

-小森選手
レース前のミーティングで監督が選手たちを奮い立たせるように振舞ってくれたこと。そして選手同士でも改善点を出し合ったり、自主的に選手で集まって練習をしたりしていました。

-安原大貴選手
練習です。ひたすら練習です。あとはマンセボ選手が戻ってきたことでレース中のペースや強度も上がり、それに引っ張られるように自然と日頃の練習の質も上がってきました。

最終戦、逆転優勝への自信

最終戦は劇的な勝利、そして逆転優勝でシーズンを終えることができましたが、最終戦に臨む時はどのような心境でしたか?

※画像はマトリックスパワータグ公式ホームページレポートより引用

-ホセ選手
難しいのは分かっていましたが必ず優勝できると思っていました。熱い想いと自信が野心的な気持ちを駆り立てました。

-アイラン選手
最終戦に向けてチームの調子が上がっていたので、最後は絶対に1、2、3でゴールをしようと決めていました。マトリックスが表彰台を独占する事だけを頭に入れて戦いました。
※結果、最終戦はマトリックスが表彰台を独占

-安原大貴選手
チームは自信に満ち溢れていましたし、個々の調子やチームの雰囲気も上がっていたので、逆転は難しいと分かっていながらも、必ずイケると思っていました。

-安原監督
自分たちが一番強いチームだというのは分かっているので、選手が自覚をもって挑んでくれれば表彰台を独占して、逆転優勝も不可能ではないと思っていました。

マンセボ選手と安原選手のアタック話

皆さんのお話を聞いているとシーズン中の緊張感や興奮が伝わってきます。それぞれ印象に残っていたり、ちょっと面白かったレースやレース中のシーンがあれば教えてください。

-小森選手
苦しい場面や重要な局面で監督がコースわきに立っていてくれたことで、落ち着きを取り戻し、気持ちを切り替えるポイントになったのを覚えています。

-アイラン選手
最終戦でマンセボ選手が僕たちも焦ってしまうようなタイミングでアタックをかけた(と思った)ので、他のチームもチェックに入り、集団のペースが一気に上がった場面があったのですが、実はマンセボ選手はそのとき用を足すために前に出ただけというのを後で知りました。今では笑い話です。

-安原大貴選手
広島森林公園ロードレースでチームメイトの小林マリノ選手がコケて、そのとき僕がアタックしたこと(笑)コケたのはチームメイトですが、その時みんな止まって、その中に強豪選手もいたのでアタックしました。

これまでに経験のないシーズンを振り返って

今シーズンはコロナウィルスの影響があり、今までに経験したことのないシーズンだったと思いますが、振り返ってみてどんなシーズンでしたか?

-安原監督
難しいことが多かったですが、海外遠征や合宿、レースがなかったことにより、個々の練習や振り返りなどにじっくり時間を使えたのは良かったと思っていますし、のちに結果にもつながりました。

-小森選手
シーズンが再開してから短期間でそれまでの空白期間を取り戻すように最後まで全開で走れたので、これまで経験したことのないスケジュールによって集中力が増し、自分のキャパシティが広がった気がしています。

-安原大貴選手
レースがいつ再開されるかもわからない状況だったので、モチベーションを保つのが非常に難しかったです。レース無いのにモチベーションって。。。思っていました。なかなかポジティブになれなかったのが本音です。

-アイラン選手
レースがないことでモチベーションの維持が非常に難しかったですが、逆にこれまでのように通常通りレースが開催されることに対して感謝をしなければならないと感じたシーズンでした。

-ホセ選手
私はいつも穏やかに過ごすことができましたし、退屈でもありませんでした。自由な時間をたくさん楽しむことができた一年でした。

新しい空気抵抗軽減素材「スピードセンサー®Ⅱ」と新デザイン採用のチームウェア

今シーズンからチームウェアの素材を新しい空気抵抗軽減素材「スピードセンサー®Ⅱ」を採用し、デザインも大幅に一新しましたが、実際にワンシーズン着用していかがでしたか?遠慮なく正直な感想を教えてください。

-安原監督
デザインに関しては最初は「ん?」という感じで少し抵抗がありましたが、若い選手の中ではとても好評だったのでそれを信じて採用しました。実際の仕上がりは斬新でとてもカッコよかったです。

-アイラン選手
今までで一番クールなデザインで、「スピードセンサー®Ⅱ」も着心地が抜群で、走行時のスピード感も体感的には上がったように感じました。今年のウェアは一番のお気に入り!

-安原大貴選手
黒ベースになってクールでかっこいいと思っています。けど色のせいか?虫刺されが増えたと思う(笑)新素材も軽くて柔らかくて、長時間着用してもノンストレス!

●マトリックスが採用しているトップス(オーダーウェア)「エアスピードジャージ」
●マトリックスが採用しているビブパンツ(オーダーウェア)「エアスピード ビブパンツ」

来シーズンに向けて

ニューデザインのウェアはおおむねご好評いただけたようで安心しました!では、最後に来シーズンに向けた抱負を聞かせてください。

-安原監督
とにかく参加するレースでは勝ち負けよりも常に存在感を示すことのできるチームであってほしいと思っています。

-小森選手
大変なシーズンでしたが、その分得るものを多かった一年でした。これを活かして来年もチームで暴れ回りたいと思います!レース会場で皆さんに再会できるのを楽しみにしています。

-アイラン選手
来年は全てのレースが開催できる事を祈っています。そして、来年は全てのレースで優勝をしたい!たくさんの勝利を手にして、チームとしても個人としても成長していきたいです。
来年も頑張りますので、応援よろしくお願いします!

-ホセ選手
これまでの経験を活かして、常に最善の方法で自分自身の準備することが結果につながると信じています。来シーズンも最高の結果になるために努力し続けます。

-安原大貴選手
アシストしてましたけど、アシストされるようになりたいです。UCIポイント取りたいし、いつかオリンピックも行きたい。もちろん来シーズンもチームで総合優勝とりたいです!


マトリックスの皆さん、インタビューへのご協力ありがとうございました。
シーズン中の臨場感を感じられるとても貴重で面白いお話が聞けました。様々な困難があったシーズンを乗り越えた、監督、選手の決して折れることのない勝利への強い想い、そして個々の力だけではないマトリックスのチーム力の強さをあらためて知ることができました。2020年はいろんな意味で忘れることのできないシーズンだったと思いますが、今シーズンの経験を生かして、来シーズンのさらなるご活躍を期待しています!