極上の島体験ができる人気イベント
自転車がある生活を作り、それによって日々を充実させていく。一人では実現が難しくても仲間と一緒ならできるかもしれない、そんな思いも込めて発足させたコミュニティーがPICC(PI Cycling Community)。活動は月1~2回、多摩川周辺で行われるライドがメインだが、ロングライドイベントに参加することもある。いずれにせよ、PICCのジャージを着て楽しく走り、カフェで会話を楽しむことが目的である。
そのPICCの、年に数回参加するロングライドイベントの舞台として今回選んだのは「2018淡路ロングライド150」。コースはいわゆる「アワイチ」と呼ばれる淡路島を一周するもの。イベントの有無に関わらず、関西ではメジャーなサイクリングエリアのひとつだ。大阪、兵庫からほど近いところにあるにも関わらず、まるで離島にいるような感覚で走ることができるところも、人気が高い理由のひとつだろう。
以前、佐渡ロングライドに出場した際は、男性メンバーだけだったこともあり「幅広いコミュニティー」を作るというPICCの目的から考えて、今回のメンバー選定は少し見直しが必要だった。そこで今回は、女性メンバーの参加を増やし、PICCが女性にも魅力的なコミュニティーであること、レベルを問わず楽しめるコミュニティーであることを確認する場とすることにした。
このように「PICCとして走る目的」を語りはじめると、少し堅い言葉が並んでしまうが、「ライドがその人の生活のなかに自然に存在するスポーツになる」が最終的な目的だ。そのために楽しく走り、お互いにサポートし合い、景色を愛でながら走る。
女性メンバーを加えてチームとして共に走る
さて今回参加した女性メンバーは3名。普段から乗り込んで、完走するのにまったく心配ないライダーもいれば、「ついていけるか心配」とスタート前から不安そうな顔をしているメンバーまでレベルはさまざま。確かに「心配」になるのもうなずけるところ。「アワイチ」は海風に吹かれながら島を一周する景色の良いコースだが、意外とアップダウンがある。フラットな部分が多くを占めるものの、前半から中盤にかけて繰り返される上りがポイント。その山場を過ぎれば、あとは比較的フラット。さらにフィニッシュの直前にもちょっとした上りが設定されているなど、“簡単”に走りきれるものではないだろう。
ただし、こんなコースであるからこそ必要になるのがメンバーのサポート力。一緒に参加してもペースは各自に任せてバラバラに走ってしまうチームもあるが、PICCは一緒に走る楽しさを選ぶ。走れる女性メンバーが後方をサポートして、ズルズル遅れていくのを防ぎつつ、声を掛け合って進む。
「経験があると思いますが、集団から遅れてポツンとひとりで走るのはすごく悲しいですよね。その経験によって自転車が嫌いになったらもったいない、という気持ちがあります。
PIではサイクリング以外にトライアスロンのチームもあって楽しんでいるのですが、それとはまた違った楽しさですね。今回のイベントは制限時間も厳しくないですし、なによりレースじゃない。ゆったり楽しんでいる感じがありました。トライアスロンだと単独レースなので、会話を楽しむ、ということはあまりないですからね。
きついところでは声を掛け合って、景色がいいところでは同じ感動を共有する。せっかくチームで出ているんだから、メンバー同士のつながりを大切にしていきたい。
楽しかったり、きつかったりしながら、それでも自転車を続けていくようなつながりがPICCで作れればいいかな、と考えています」とPICC発起人の清水秀和さんは語る。
スタート前に不安がっていた女性メンバーも含め、PICC全員が無事に完走。自転車で走ること、一緒に走ることの楽しさを強く感じていたようだった。
前出の清水さんは語る。
「まだまだ女性のサイクリストは少ないと思います。それはいろいろなハードルが原因だと思います。自転車を購入するハードル、着たいウエアがないというハードル、一緒にライドする女性ライダーが近所にいないというハードル、そしてどうやって走っていいか分からないというハードル。自転車の購入に関しては自分たちができることは少ないですが、それ以外のものについては少しずつですが、なんとかできるかもしれない。それをPICCの活動の中でクリアしていってもらいたいと思っています。
これからも男性女性問わず、幅広いライダーに楽しんでもらえるような活動をPICCで続けていく予定です。きっかけがあったら一緒に走りましょう!」