サイクルウェアと普段の生活、その垣根をなくしたい
清水:「自分が常に考えていることは、長く健康的でありたいということです。あまり言いたくないのですが、昔すごく太っていたときがあって(笑)。それはもう医者からも注意されるくらいでしたが(笑)。そんなときに無理しないで始められるスポーツということで水泳や自転車をはじめました。
そんなふうに乗り始めてスポーツをすること、自転車に乗ることが生活の一部になると、いろいろと目に付くようになるんですよね。今年ユーロバイクに行ったとき、ついでにチューリッヒに行ってみたのですが、自転車の乗り方が新鮮だったんです。
たとえば、日本だとママチャリに乗っているようなおばちゃんが、ヘルメットをかぶってスポーツバイクに乗って通勤していたり、逆にシリアスにロードバイクに乗っている人のウェアが割と普通なスポーツウェアを着ていたり。すごく肩肘はらない、というかいろいろなスタイルが混在している。性別とか年齢とかに関係なく、まさにシームレスな感じ。これがすごく刺激的だった。」
清水:「着るものって、もちろん仕事のオン/オフもありますが、スポーツのオン/オフもあると思います。数年前からそのオン/オフをミックスしたスタイルが人気になり、境目が曖昧になってきていますが、サイクルウェアはまだまだオン/オフの境がはっきりしている。
だからこそ、普段着感覚でチョイスできる高機能なサイクルウェアがあってもいいな、もっとシンプルなデザインのものがあってもいいな、という“シームレス感”があり、最終的にジェネシスという世界観を思いつきました」
まずはウェアの開発責任者・清水さんから、なぜシーズン3のテーマが「ジェネシス」になったのかの経緯が説明され、トークセンションがスタート。続いてそれぞれが、それぞれの立場からバイク、ライド、スポーツにまつわる“新しいシームレス感”を話し始めた。
普段もライドの時も、シームレスでコーディネートを考える
大西さん:「私の仕事は大きく分けて2つあります。1つはトライアスロンやランニングの指導やイベントに携わる仕事。そして2つ目は、株式会社BEACHTOWNの一員として、地域の自然資源や遊休地を活用した、ヨガスタジオやアウトドアスポーツの拠点となる施設のプロデュースや運営をしています。簡単にいえば、一人でも多くの日常に、自然やスポーツとの接点を増やす活動です。
今はデジタル化が進んで、スマートフォンが手放せなくなっているし、会話も買い物もすべてそこの中で行われてしまっている。もちろん便利なものなので、手放す必要はないですが、だからこそ、そんなデジタルとは逆にある、“自然に触れる”、“身体を動かす”といったアナログな活動が大切になってくる時代だと考えています。そんな場を提供したいという思いで日々の活動に取り組んでいます。」
大西さん:「そこで知り合った方を見ていると、スポーツを続けるモチベーションは本当にさまざま。私達がプロデュースした施設をきっかけに始める、続ける人もいれば、雑誌やメディアなどでデザイン性やファッション性の高いスポーツウェアを見て"このウェアなら着て始めてみたい、これ着て走りに行きたい"というウェアがきっかけで、スポーツに対するイメージが変わって始めたり、楽しく続けている方もいる。
これって不純な動機に思われるかもしれないですが、実は自分自身もそうなんですよね(笑)。 機能や快適さはもちろんですが、デザインもかなり重要です。着ていてかっこいいと感じることが“着火剤”になってやる気になる。感情の部分に訴えかけるデザインにより、自転車を楽しみながら続けて、健康的なライフスタイルを創ることに貢献できるのではないかと、考えています。
でもこれは自分の場合、普段の生活からそうなんですよね。これから出かける場所に合わせたコーディネートしていると、気分が高まっていく。もちろんライドのときは、自転車のカラーに合わせて、ウェア、ヘルメットを選びますし、気分や走りに行く場所でもコーディネートを変えることもあります。
そういう“コーディネートを楽しむ”という点から言えば、自分にとって日常の生活(普段着)もライド(サイクルウェア)も気持ち的にはシームレスなんですよね。
アンバサダーだからというわけではないですが、Pearl Izumiのプロダクトはすごくシームレスに日常に溶け込むようなデザインになってきていると思います。ライドと日常の境目にうまくうめているというか、すごく気分が上がりますね」
山下さん:「ウェアの話をすると、自分の仕事は“移動しての打ち合わせ”と“デスクワーク”が両方あるんですが、基本的には動きやすいものを選んでいます。その中であまり崩れていないもの着ています。打ち合わせとデスクワークで必要な機能がシームレス、ということかもしれないですね。
サイクルウェアでいうと、自転車に乗り始めてすぐのときには、すごくレーパンに抵抗がありました。でもやっぱり長い距離を乗るようになってからは、機能的だっていうのが分かりいつの間にか抵抗感も薄くなっていきました。自分のような人間が増えないように、日常でも抵抗感が薄くなるレーパンがあると、さらにシームレスになるかもしれないですね」